
- 生産国
- フランス
- 生産地方
- シャンパーニュ
- 分類
- スパークリングワイン
- タイプ
- 辛口
- 主原料
- ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエ
美しいライトゴールドの中で、スパークリングの気泡が宝石のように光ります。香りは華やかで、イチジクや洋ナシのようなフレッシュな果物の風味と、ヘーゼルナッツのような芳しい香りが混ざり合います。
味わいはフルーティーな甘みが強く、しかし、それが突出しているわけではありません。ニコラ・フィアットの特徴は調和にあります。フルーティな香りと甘み、それに熟成された樽香とナッツのような香ばしさが混ざり合っているのです。複雑でありながら、それを感じさせず全体としてバランスがとれているので、受ける印象はエレガンスでフレッシュ。抜群な安定感を持ちながら、単調ではない味わいはこの調和のとれた複雑な味と香りから生まれているのです。
ニコラ・フィアットは現存するシャンパンメーカーの中で、唯一創始者が健在しています。というのも、このシャンパーニュ・ブランドは設立されてまだ約40年しか経っていないのです。しかし、そういう若いシャンパーニュ・ブランドであるにもかかわらず、1976年に創設されて30年と経たないうちに販売数フランス国内1位、世界で3位に登り詰めました。その秘密は、創始者ニコラ・フィアット氏の戦略にあります。
ニコラ・フィアット氏は18歳で渡米し、コーヒー豆ビジネスで大成功をおさめます。1960年にシャンパーニュ地方ランスのブドウ畑を譲り受けて帰仏。独自のシャンパーニュ・ブランドを起こそうと決意します。そうして生まれたシャンパーニュ「ニコラ・フィアット」ですが、そのブームの火付け役はジェット・セッターでした。ジェット・セッターとは、仕事やプライベートでプライベートジェットを用いる人たちのことです。
ニコラ・フィアット氏はアメリカ時代に築き上げた人脈を用いて、このジェット・セッターたちに自分のシャンパンを仕事のお礼やプレゼントとして送りました。
シャンパーニュ「ニコラ・フィアット」は彼らの間でたちまちに評判になり、1978年にはワシントンで開かれた当時のフランス大統領を迎える晩餐会に、公式シャンパンとして使われるほどになります。創設からわずか2年のことです。
確かに、ニコラ・フィアット氏の販売戦略は優れていました。ジェット・セッターのような上流階級や資産家をファンに取り込むというのは、ブームを作るのに容易です。しかしながら、舌の肥えた彼らを虜にするのは、味や品質が優れていなければ不可能なのです。それだけでも「ニコラ・フィアット」がいかに優れているかの証明になるでしょう。
そのような背景を持つシャンパーニュ「ニコラ・フィアット」は、世界中の航空会社に選ばれています。エールフランス、シンガポール航空、そして2013年には日本航空で国内線ファーストクラスに搭載されました。
ニコラ・フィアットが航空会社に選ばれる理由として、品質が安定していることがあります。気圧が低くなる上空では、あらゆるものがその影響を受けてしまいます。しかし、ニコラ・フィアットは上空でも地上と変わらない一流の味が楽しめるのです。この安定感の秘密は製造方法にあります。
ニコラ・フィアットに使われるブドウは、すべて契約栽培農家から良質なものだけを供給されています。ニコラ・フィアットにかかわっているブドウ畑の総面積は、シャンパン全体の7%にも及びます。
この高品質で豊富なブドウを扱うために、ニコラ・フィアットはシャンパーニュ地方で最も近代的な設備を取り入れています。貯蔵できるリザーブワインの量は最大で304,00キロリットルと膨大で、これが安定したシャンパンを手に取りやすい価格で供給できる理由になっています。そして、こうした最新設備に伝統的な技術を取り入れることによって、世界中で愛されることになるシャンパーニュが出来上がるのです。
ニコラ・フィアットのセラーマスターはこのシャンパンについて「その人がいるだけで場が和んだり、楽しくなるような、主役ではないが、親しみやすく味のある友人であってほしい」と語っています。