
- 生産国
- フランス
- 生産地方
- ボルドー オードメック
- 分類
- 赤ワイン メドック1級
- タイプ
- フルボディ
- 主原料
- カベルネソーヴィニヨン メルロ カベルネフラン プティヴェルド
メドック1級シャトー・ムートン・ロートシルトの歴史
シャトー・ムートン・ロートシルトは、世界で最も素晴らしいボルドーワインの一つとされています。力強さを感じる深い味わいと、カシスや花のようなフレッシュな香り、そしてオークのようなクラシックな香りをほのかに感じることができるでしょう。この偉大なボルドーワインについて語るならば、まず1855年まで遡らなければなりません。この年、パリでは万国博覧会が開かれ、そこでボルドーワインの格付けが行なわれました。格付けはシャトーのワインの市場価格が基準となりましたが、このシャトー・ムートン・ロートシルトだけは例外になりました。第1級に格付けされたシャトー・ラフィット・ロートシルトと、市場価格はほとんど同じであったにも関わらず、第2級に格付けされたのです。当時のシャトーの持ち主フィリップ・ド・ロチルド男爵は、これを「恐るべき不正」と評価しました。このロチルド男爵家は英国出身。この不当な格付けは、シャトーをイギリス人に買われた嫌がらせだった、と信じられています。
ところで、このフィリップ・ド・ロチルド男爵は、この恐ろしい不正に対して泣き寝入りはしませんでした。何年にも渡って熱心なロビー活動を行い、1973年ついに第1級へと格上げすることに成功しました。これは異例のことで、シャトー・ムートン・ロートシルトだけが成し遂げた偉業です。
それまでラベルには”第1級にはなれずとも第2級に甘んじず。我はムートンなり。”と記されていましたが、昇格を果たした後は”今や第1級となったが、かつては第2級であった。されどムートンは不変なり。”に変わっています。
味や香りもさることながら、このワインの魅力のもう一つは、ラベルにあります。フィリップ・ド・ロチルド男爵は、年ごとにラベルのデザインを変えることを思いつきました。特に著名で偉大な画家や芸術家に依頼され、いまやラベル絵の人気がオークションの価格に関わってくるほどになっています。ミロ、ピカソ、シャガールなど、そうそうたる面子です。日本人の芸術家も携わっていて、1979年には堂本尚郎画伯がラベルをデザインしました。このラベルデザインの報酬、なんと現金で支払われるのではなくその年のシャトー・ムートン・ロートシルトが渡されるそうです。
数奇な歴史と、美しいラベルを持つシャトー・ムートン・ロートシルト。年の当たり外れはあるものの、全体を通して豊かさを感じる味わいと、芳醇でまろやかな香りにほのかに香ってくる樽香が合わさった深みが際立ちます。
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シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド
かなり長い名前の赤ワインですが、この名前はワインが生まれたシャトーから取られています。つまり「ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド