
- 生産国
- 日本
- 生産地方
- 大阪 三島郡
- 分類
- ジャパニーズウイスキー
- タイプ
- シングルモルト
- 主原料
- 大麦 酵母
濃い琥珀色をした「山崎」からは、スモーキーな香りが立ち上ります。けれど、そこまできつくはありません。日本人の感覚に合うように、優しい香りです。
口に含むと甘みがあり、濃厚なコクとフルーティな味わいが広がります。また、ナッツのような芳ばしい香りと、スパイスのような余韻があります。
シングルモルトウイスキー「山崎」が生まれたのは1984年。経済的な豊かさが頂点を極め、価値観の多様化が生まれた時代でした。サントリーの創業者、鳥井信治郎氏が大阪府の山崎に蒸留所を作ったのは1923年のことでした。蒸留開始から試行錯誤が繰り返され、約60年をかけて「山崎」が生まれました。
鳥井氏が山崎を蒸留所に選んだのは、まずウイスキー作りに欠かせない上質の水があることでした。この山崎の水はかの千利休も愛したと言われるほどの名水で、鳥井氏はこの水に惚れ込んだと言います。
そして、霧が立ち込める地形が、ウイスキーの醸造にあっていると判断したからでした。
1929年に本場スコットランドでウイスキー作りを学んだ竹鶴政孝氏を招致します。竹鶴氏は「ウイスキー作りには北海道のほうが適している」と進言しましたが、鳥井氏は山崎の地を譲りませんでした。
「舶来ものを要せず」の精神で、日本人のために作られたジャパニーズウイスキーですが、できた当初は海外からは酷評されていました。「山崎」の原酒にはミズナラ樽を使用したものがあります。これもジャパニーズウイスキーならではです。
もともと、ミズナラはウイスキーの樽には向かないと言われていました。太平洋戦争によってシェリー樽の輸入が困難にならなければ、ミズナラ樽仕込みのウイスキー原酒は生まれなかったでしょう。
当初はブレンダーにさえ酷評されたミズナラ樽の原酒ですが、時を経て熟成されるにつれ伽羅や白檀のような高貴な香りを持つようになりました。今では海外のブレンダーにも高い評価を受けるようになっています。
このように、日本人らしい感性とディスティラーとしての情熱で作られたジャパニーズウイスキーは、海外でも徐々にその評価は覆されていきます。そしてついに2014年、英ウイスキーガイドブック「ワールド・ウイスキーバイブル2015」でこの「山崎」が世界最高の評価受けるまでになりました。
いまやジャパニーズウイスキーの海外市場は広がり続けていて、「山崎」はその先駆者と言えます。
「山崎」の名前はこのウイスキーが生まれた山崎蒸留所にちなんで名づけられました。そのラベルの文字をよく見ると、「崎」の「奇」の部分が「寿」になるように書かれています。これはサントリーの前身である「寿屋」から取ったと同時に、ジャパニーズウイスキーの門出を祝う思いが込められているそうです。